職人の価値を値切ろうとした恥ずかしい過去
ゲインで使うハサミは
秋田のハサミ職人に研ぎを入らしています。
↓↓↓
私にとってハサミは
大切なものです。
そんなハサミですが
使っていけば
当然、切れが悪くなってきます。
そこで切れを復活させようと
ハサミを研ぐわけですが、
ハサミの研ぎは難しいもので
なかなか思うような切れ味にはなりません。
ハサミはただ切れが良ければ
良いというわけではなく、
『良い切れ味』というものがあります。
そしてこの”切れ味”というものを
ハサミ職人に伝えるのが
実に難しいんです。
この鋏は力強く。
この鋏は少し逃げ気味で。
この鋏は少し薄く。
切れ味を言葉で伝えるのって
とっても難しいです。
細かいオーダーにもかかわらず
パーフェクトに仕上げて頂きました。
このハサミ職人の方がスゴイのは
こちらの言葉が少なくても
こちらの望む具合に
仕上げて頂けるということです。
ハサミを見れば
『どうしたら良いのか?』
が分かるのでしょう。
そんな仕事をして下さる
この方をとても尊敬しています。
また、私自身の技術も
そうでありたいと思っています。
例えば、お客さまのカットをする時
オーダーを聞いたら
お顔や髪質、髪の生え方を見て
『ここはこうしましょう。
ここはこうなっているので
こうした方が良いです。』
というように
おすすめの髪型への
ゴールが見えるかのように
ご提案する技術者でありたい!
と考えています。
今回、お世話になったハサミ職人の方を
最初に知ったのは
今から20年くらい前のことでした。
尊敬する先輩が
この職人の方が仕上げたハサミを
使っていました。
先輩にお願いをして
そのハサミをお借りして
髪を切ってみることに…。
切った瞬間、
『なるほど~!』
と感じました。
普段、髪を切っていると
気になるポイントが
気にならないんです。
私は、先輩にこの鋏の値段を聞きました。
たかひこ
『このハサミっていくらですか?』
先輩
『8万ちょっとに消費税かな。』
たかひこ
『それが、いくらになるんですか?』
先輩
『・・・。
・・・。
佐藤ちゃん!
人の仕事を値切ってはダメだよ。
例えば佐藤ちゃんが
必死で勉強してきた技術であるカットを
お客さんに値切られたらどう思う?』
たかひこ
『すごく嫌です。』
先輩
『そうだよね~。
嫌だよね。
今、佐藤ちゃんが聞いた
質問というのは
それと同じことだよね?』
この仕事に就いて
5年目の頃のことです。
とても勉強になった出来事でした。
職人にとって
技術は『命』とも言えるもの。
睡眠時間を削って
身体の限界まで追い込んで
身につけた技は
『命』と同じ意味を持つもの。
それを値切ろうとした自分を
当時、恥ずかしく思ったことを
今でも鮮明に覚えています。
その値段で高いと思うならば
オレのハサミは買わなくていい!
そんな気迫を
そのハサミからは感じます。
職人の価値を大切にしたいですね(^_^)
それでは、また明日。