親父の背中〜その1

奇跡は起きないのか?

 

 

 

 

もう一度必ず戻ってくると思って
送り出した救急車。

 

 

 

 

日ごとに具合が悪くなる。

 

 

 

 

柏の病院に入院する数日前まで
ゴルフに行っていたのに。

 

 

 

少しずつ食べれなくなって、

トイレにも行けなくなって。

 

 

 

 

 

 

柏の病院に1ヶ月間
入院した後、

退院したお祝いと78歳の誕生日を祝って
みんなですき焼きとケーキを食べた。

 

 

 

孫に囲まれ楽しそうな父。

 

 

父とずっと離れていた母も
やっと帰ってきて
安心した顔をしていた。

 

 

 

 

父は、すき焼きとご飯を少し食べてはいたが
ケーキは口にしなかった。

 

 

 

 

甘いものが大好きななのに。

 

 

 

みんなでこたつに入りながら
父は言った。

 

 

 

 

 

「クリスマスにケーキを食べて
お正月にもケーキを食べようか?」

 

 

 

 

たかひこ

「もちろん、食べようよ🎵

クリスマスケーキはオレが買うから
お正月のケーキは、お父さんが買ってよ!」

 

 

 

 

 

 

なんて会話をしていた。

 

 

 

 

 

 

それから10日も経たない間に
父はコロナになった。

 

 

 

 

 

抗がん剤の治療のため
白血球が少なくなっていたので

白血球を上げる注射をしながら
感染症にかからないようにしていたのに。。。

 

 

 

 

 

 

それ以上に身体が弱っていたのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コロナの判定が聞いた時、
やばいかも・・・。

 

 

と思った。

 

 

 

でも、またきっと元気になる

 

 

 

 

 

そう思っていた。

 

 

 

コロナの判定から二日後の
12月10日

 

 

 

父は、救急車で運ばれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

年末を控え、父に近づいて
コロナに感染をするわけにはいかなかったオレは
救急車を遠くから見守った。

 

 

 

 

 

運ばれた病院では

「食事が自分でできるようになれば
退院ですよ!」

 

と言ってくれたので
家族みんなで安心した。

 

 

 

 

コロナなのでしばらくの間
面会謝絶になった。

 

 

 

 

 

 

入院から2週間後、
面会OKとなり

 

12月23日
父の顔を見に行った。

 

 

 

 

 

 

父のいる病室に行くと
想像したよりも悪い状態だった。

 

 

 

 

 

 


『すまね~な!』

 

 

 

しゃがれた声を出す父に

 

 

 

 

たかひこ
『大丈夫だよ!』

 

 

 

 

 

 

痛がっている右足をさすっていると
父はこう言った。

 

 

 

 

 


『明日も休みか?』

 

 

 

 

 

 

たかひこ
『いや、明日は仕事なんだ。
今日が年内最後の休みだよ。』

 

 

 

 

 

 

 

父は、黙っていた。

 

 

 

 

 

「きっと明日も来てくれ!」
と言いたかったに違いない。

 

 

 

瞬時にそう思った。

 

 

 

 

 

 

 

でも、同じ理容師である父は
年末の忙しさを知ってるので
それ以上は口にしなかったのだろう。。。

 

 

 

 

 

 

たかひこ

『お父さん、
何か食べたいものはある?』

 

 

 

 

 

 


『アイス・・・、
モナカのアイス。』

 

 

 

 

 

 

 

水を飲むのも看護師さんにお願いしなければ
ならない状態だったので

オレは、ナースステーションに許可を求めに
走った。

 

 

 

 

 

10数分後、許可が出た。

 

 

 

 

 

 

 

急いでエレベーターを使って
1階のコンビニまで走った。

 

 

 

 

バニラのアイスを買って
病室に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

もちろん、
食べれるなんて思ってはいない。

 

 

 

 

 

 

 

ノドが乾いて仕方がない父に
オレはただ、

冷たいアイスを口につけてもらって
気持ち良い顔をしてほしいだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

急いで病室に戻ると
父のベットは無くなっていた。

 

 

 

 

 

 

CTの検査をするため
検査室に行ったそうだ。

 

 

 

 

 

 

面会時間の制限は15分。

 

 

 

 

すでに40分経っていた。

 

 

 

 

 

 

 

仕方がなく
父の姿を見ずに帰ることにした。

 

 

 

 

つづく。

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